この記事では、毛髪の構造(キューティクル・コルテックス・メディア)と成分について解説しています。
具体的なケア方法なども紹介しているので、髪について詳しく学びたい人は是非参考にしてください。
毛髪の構造は3層になっている
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1本の髪は、大きく分けると3つの層から成り立っており、一番外側をキューティクル、中間部をコルテックス、中心部をメデュラといいます。
キューティクルに関しては、CMなどの影響で多くの人がご存知かと思いますが、実はコルテックス、メデュラも髪を守る重要な役割があります。
キューティクル(毛小皮)とは?
キューティクルは、ウロコのように透明な細胞が平たく4〜10枚重なり合って、髪の内部から水分や栄養素が逃げにくいようにする役割、また外部から髪を守る役割があります。
そのため、このキューティクルが壊れると、毛の中にある水分や栄養素が逃げてしまい、髪の手触り・見た目がパサパサになってしまいます。
人によって様々ですが、キューティクルが毛髪を占める割合は10%〜15%で、割合が多い人ほど硬い髪になります。
そのため、髪が生まれつき硬い人は、キューティクルが多い可能性が高く、強い髪の持ち主ということになります。
キューティクルをもう少し細かく分類すると、1枚のキューティクルは、以下の3つから成り立っています。
出典 www.schwarzkopf-professional.jp
- 最外層の「エピキューティクル」
- 中間層の「エキゾキューティクル」
- 最内層の「エンドキューティクル」
これら3層は、ヘアカラーをする時に大きく関わるため、髪の構造を深く理解したい方は必須の知識です。
ヘアカラーをする際、酸化染毛剤が毛髪内部に浸透します。
その時に、最外層の「エピキューティクル」は水・アルカリをはじきますが、最内層の「エンドキューティクル」は水・アルカリを吸い込むため、体積が膨潤し、キューティクルが開いてしまいます。
キューティクルが開いてしまうと、最終的には毛先のキューティクルが完全に欠落してしまい、毛先がパサパサになってしまうのです。
キューティクルの表面にある18-MEAとは?
キューティクル各層の表面は、「18-MEA(18-メチルエイコサン酸)」と呼ばれる脂質でおおわれています。
18-MEAは、髪全体に占める割合はわずか1%未満に過ぎません。
しかし、毛髪表面の摩擦の低減・まとまりをよくするなど、髪のツヤや手触りに影響する重要な働きをしています。
重要な働きがあるにも関わらず、紫外線やヘアカラー(ブリーチ)で失われやすく、1回のヘアカラーで、なんと80%が簡単に欠落してしまいます。
18-MEAを構成する成分
18-MEAは以下の成分から成り立っています。
- イソアルキル(C10-40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート
- ベヘントリモニウムメトサルフェート
- ポリクオタニウム-33
- 羊毛由来のラノリン脂肪酸
今まではこれらの成分から成り立つ18-MEAが欠落してしまうと、修復することはほぼ不可能でした。
しかし、最近では18-MEA入りのシャンプーも発売され、キューティクルの表面に18-MEAを翌日の日中まで保つことが可能となりました。
それでも永続的に補修することは未だ不可能なので、このような18-MEA入りシャンプーを継続的に使う以外にケアする方法はありません。
キューティクルのケア方法をご紹介
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キューティクルは外部から一時的にケアをすることが可能です。
また、キューティクルの傷み具合によっては、
アミノ酸シャンプー・トリートメントを使う
まず、そもそも市販のシャンプーでは、汚れを落とすために、皮脂を取りきってしまうので、頭皮も髪も守る効果はありません。
一方、アミノ酸シャンプーでは、頭皮も髪も守る効果があります。
特に枝毛などが既にある方は、毛先のキューティクルが剥がれ、乾燥している可能性が高いですが、アミノ酸シャンプー・トリートメントを使うと、水分を補給してくれるため、改善することが可能です。
また、ダメージケア系のアミノ酸シャンプー・トリートメントなら、水分調整が効いたところに、特殊なヒアルロン酸、天然精油など、潤い成分をもってコーティングしてくれるため、キューティクルが自然に近い形でまた髪を包んでくれます。
トリートメントを行う際、髪が濡れたままでは浸透しづらいので、タオルなどで水分を拭き取ってからつけるのがおすすめです。
また、トリートメントをつけた髪をシャワーキャップや蒸しタオルで髪を覆っておくと、髪の奥までトリートメントが浸透しやすく、より一層効果を感じやすくなります。
お風呂後は早く髪を乾かす
濡れた髪は、キューティクルが開いた状態になっているので、そのまま放置すると、髪に大きな負担がかかります。
そのためお風呂後は、すぐにドライヤーで乾かし、キューティクルを閉じる必要があります。
しかし、キューティクルは熱に弱い特徴を持っているため、髪の毛をしっかりとタオルドライをして、ドライヤーも最低限で済ますようにしましょう。
紫外線対策をする
上記にもある通り、キューティクルは熱に弱い特徴があります。
そのため、紫外線からのダメージを防ぐために、髪用の日焼け止め剤・帽子・日傘などで紫外線から髪を守りましょう。
コルテックス(毛皮質)とは?
コルテックス(毛皮質)は、キューティクルの内側にあり、毛髪の85~90%を占めており、繊維状の細胞(フィブリル)を中心に、水分やメラニンから成り立っています。
メラニンには紫外線から肌を守る効果があるので、重要な役割を持っているといえます。
ちなみに、このコルテックスの状態によって、毛髪の性質(太さ、硬さ、強さ)が決まり、コルテックスに含まれているメラニンの種類と量によって、髪の色が決まっています。
コルテックスをもう少し細かく分類すると、以下の2つの構造から成り立っています。
- 皮質細胞
- 細胞間充物質(マトリックス)
皮質細胞は、さらに小さな組織(マクロフィブリル、ミクロフィブリル、プロトフィブリル)によって成り立っており、ここで毛髪の強さや弾力性が決まってきます。
また細胞内にメラニン色素を多く含み、髪の毛の色を決めているのもこの部分です。
細胞間充物質は、皮質細胞の間に存在していて、ここでは髪の中の水分をコントロールしており、毛髪の柔軟さやしなやかさを決定しています。
成分としては、キューティクルよりも更に柔らかいタンパク質(ケラチン)から成り立っているのですが、薬品の作用を受けやすい特徴があり、パーマ剤や酸化染毛剤の影響でタンパク質が溶けだしたりすることもあります。
タンパク質が溶け出すと、髪のツヤがなくなったり、水分調整機能が低下することに繋がるので、意識的に補修していくことが重要です。
メデュラ(毛髄質)とは?
毛髪の中心にあるメデュラは、空洞細胞が積み重なった蜂の巣状の細胞です。
このメデュラは、全ての髪に一定量存在するのではなく、太い髪の毛ほど量が多く、産毛などの細い毛では少なくなります。
実は量自体がバラバラということもあり、どのような役割を持っているのか明確な研究結果は出ていません。
しかし、健康な髪のメデュラは、中心で一直線につながっていますが、男性型の脱毛症に見られる抜け毛の場合、メデュラが断続的に途切れているといったケースが多く見られます。
そのため、メデュラが髪の健康に関わりがあり、髪のハリ・コシに影響していると推測されています。
また、別の研究では、寒冷地に生息する動物の毛にメデュラが非常に多く見られることから、メデュラの空洞部分に溜まる空気が保湿の役割をしているという研究結果やメラニン色素やシスチンを多く含み、キューティクルなどに比べて脂質の含有量が多いため、毛髪の保湿機能を担っているというような研究結果もあります。
このように毛髪に何かしらの影響を与えている事実はあるものの、明確な機能を定義されていないため、ヘアケアや育毛の際には、メデュラを重要視しなくても良いというのが定説でもあるようです。
毛髪の成分
ここからは、キューティクル・コルテックス・メデュラのケア方法について紹介していきますが、その前にこれら3つがどのような成分から成り立っているのかを知る必要があります。
ダメージヘアを改善するために、是非知っておくべき知識なので、参考にしてください。
毛髪は、タンパク質(ケラチン)が主成分
毛髪は基本的にケラチンというタンパク質から出来ています。
そして、このケラチンは、18種類のアミノ酸が結合してできるタンパク質なのです。
以下はケラチンに含まれるアミノ酸の一覧です。
アミノ酸名
|
含有率(%)
|
アミノ酸名
|
含有率(%)
|
グルタミン酸
|
15.00
|
プロリン
|
6.75
|
シスチン
|
13.72~16.00
|
グリシン
|
6.50
|
ロイシン
|
11.30
|
チロシン
|
5.80
|
アルギニン酸
|
10.40
|
バリン
|
4.72
|
セリン
|
9.41
|
アラニン
|
4.40
|
アスパラギン酸
|
7.27
|
フェニルアラニン
|
3.70
|
スレオニン
|
6.76
|
リジン
|
3.30
|
メチオニン
|
0.71
|
トリプトファン
|
0.70
|
ヒスチジン
|
0.70
|
ヒドロキシプリン
|
0.21
|
ケラチンの特徴は、繊維等のタンパク質にほとんど含まれないシスチンと言う成分を約16%も含んでいます。
そのため、美しい髪を手に入れるために、このシスチンを日頃から摂取する必要があります。
シスチンとは?
シスチンとは、イオウを含んだアミノ酸である含硫アミノ酸の一種で、非必須アミノ酸に分類され、メチオニンから体内で合成できます。
メチオニンは上記の表に記載しているように、ケラチンに含まれていますが、実は体内で合成されることのない必須のアミノ酸になります。
そのため、食事等で外部から摂取する必要があります。
そして、このメチオニンが含まれる食材は、「大豆・牛乳・レバー・玉子・肉・魚・小麦粉(全粒粉)」などです。
これらの食材を日々の食事の中で取り入れることが美しい髪を手に入れる第一歩となります。
シスチンは簡単に失われてしまう?
シスチンは髪の毛以外にも体内で活用されています。
例えば飲酒によって発生してしまう「アセトアルデヒド」の分解に消費されます。
そのため、大量に飲酒してしまうと、大量にシスチンを消費してしまうのです。
また、網膜の疲れにも消費されるので、パソコン・ゲーム・スマホ等を長時間見ていると、網膜を癒やすためにシスチンが活用されます。
実は人間にとって毛髪というのは、生きていく上でそれほど重要ではないため、一番最後にシスチンが消費されることになります。
そのため、意識的に飲酒や網膜の疲れを出さないような生活を心がけましょう。
ヘアケアは継続が大事
専門的な構造・成分までご紹介しましたが、美しい髪を手に入れるには、これらを継続的にケアしていくことが必要です。
しかし、人によっては、外部・内部からのケアをしても追いつかないぐらい傷んでいる場合もあります。
そのような場合は一度、髪の専門家である美容師に意見を聞くことをおすすめします。
あなたにあったヘアケア方法や、部分的に髪をカットするなどの改善方法を教えてもらい、美しい髪を手に入れましょう。